10代の頃から芸能界に憧れ、モデルの仕事を皮切りに夢を追いかけて東京へ。芸能界への強い憧れを持ちながら、さまざまなアルバイトをしていた頃に、プロダクションからのスカウトで念願の芸能界入りへのチャンスを得る。
ドラマ・雑誌・CM・キャンペーンBOYなど、大小さまざまな仕事をしながら浮き沈みの激しい世界で10数年の時を過ごし、その後いくつかの業種を経て現在の業界へと転進し、成功を収めた。
銭さんは非常に穏やかな口調で語ってくれた。
「今振り返れば、夢って「想い続けて頑張っていれば叶うものなのかな」と思いましたね。芸能界に入っていい事ばかりあった訳じゃないし、つらいことの方が多かったかも知れませんが、あの時代に色々な人と出会い、色々な経験を積めたからこそ、今の私が在るのでしょうね」
ひとつひとつの言葉に深みがあり包容力があるのは、これまでの人生経験の豊富さからなるものなのだろうと、インタビューしていて率直に感じた。ではどうして今の仕事へとつながっているのであろうか?私が考えていると、銭さんは再びゆっくりと語り初めてくれた。
「実は20代の頃に本当に酷いアトピー性皮膚炎に悩まされました。もうつらくて大変でね。どんな有名病院、大病院に行っても処方されるのはいつも同じような薬ばかりで改善される兆しもなく、それはもう絶望感で一杯でした。芸能界では、肌や体型・体調管理が出来なければ仕事そのものが無くなってしまうことになるので、正直もうこの業界には二度と復帰出来ないと諦めていましたね。そんな頃に漢方医の先生に出会い、漢方薬を処方して頂き、1年半位で芸能界にまた戻ることができたんですよ。それからはずっと漢方は飲みつづけてますね。自分でも奇跡だと思いましたから。私が30代をきっかけにこの世界に入った理由の1つかも知れません」
なるほど、銭さんのバックボーンが少し見えてきた気がした。では、来店したお客様に対して、銭さんはどのように接しているのだろうか。
「お店に来られるお客様の中でも、ご自身や兄弟・子供がアトピーで悩んでいると聞かされると、自分の体験談も含めてアドバイスはさせてもらっています。やはり私自身がその辛さを人一倍よくわかるので、どうしても親身になってしまいますね。大した事はできませんが、懇意にして頂いている漢方医の先生を紹介したり、できる限りの対処法をお教えしたりしています。私自身が、漢方医の先生にお店の化粧品・自然派の薬などのアドバイスをして頂いていますので、その知識を少しでも多くの人に活かしたいと思っています。」
過去の経験が、今現在の銭さんに大きな影響を与えている。実のある言葉で話す銭さんに、思わず神妙な顔つきになる私。すると、銭さんは笑いながら話を続けてくれた。
「何故だか女性の方より男性のお客さんの方が多いんですよ。北新地という場所もあるでしょうけど、ビジネスマンの方が多くてよく相談されるんですよ。他愛もない悩みとか仕事の話とか。何でやろうね」と笑う。
「美容室感覚で来てもらえるお店というのがコンセプトだから、私からすれば嬉しい限りなんですけどね」
非常に屈託のない顔で笑う銭さん。
何でも気兼ねなく話せる彼の兄貴的な雰囲気に触れて、何度も気軽に来店するお客達の気持ちがわかったような気がした。
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