演劇や伝統芸能の舞台には、
目の前で演じられる生ならではの迫力と世界観があり、とても魅力的です。しかし、映画などに比べると
マナー面などでハードルを感じている方も多いのではないでしょうか。
そうした方のために、観劇の基本マナーをご紹介したいと思います。マナーを知っておけば、いざ劇場に行ってから困ることも少なく、集中して舞台を楽しむことが出来ますので、ぜひ活用してみてください。
鑑賞のためのマナー
1番に気を付けないといけないのは、
入場に遅れないこと。映画やミュージシャンのコンサートなどでもそうですが、
開演後の入場は他の方に迷惑がかかってしまいます。
まして舞台の場合は時に演者の集中力にも影響してしまいます。必ず遅れないように時間に余裕を持って出かけましょう。
また公演の内容によっては、演出などの都合上、遅れて行くと自分の席ではなく後方でしばらく待たねばならないケースもありますので注意しましょう。
上演中のお喋り、飲食はもちろんNGです。開演前や休憩中などはOKですが、上演中は遠慮しましょう。
特に飲食はちょっとしたペットボトルを空ける音や、包み紙を開く音だけでも思った以上に響いてしまい、周りの集中力をそいでしまうことも。
会場や公演によっては休憩中なども含め、ロビーを除き一切飲食を禁止している場合もあります。
そして
意外と盲点なのがトイレ。劇場のトイレはみんなが開演前に行こうとして混雑しがちです。
会場の規模によってはトイレが小さく、長蛇の列になることもありますから
会場に着いたらすぐに行っておくか、もしくは会場近くの駅や喫茶店などで事前に済ませておいたほうがいいでしょう。
座席の選び方
ミュージカル公演の席種は、小規模公演の場合は全席同料金ということもありますが、
多くの場合は値段ごとに2〜4のランクに分かれています。
「一度しか観ないのだから最高の席を」「何度も観たいのでエコノミー席を」など、予算やスタンスによって好きな席種を選んでください。
演劇業界では一般的に
「とちり席」(1階7〜9列目)のセンター辺りが、キャストの表情も全体像もよく見えてベストと言われています。
恋人やご両親を招待したい、というような場合にはまずこのエリアがお勧めです。
「いやいや私は出演者目当て!」 「登場人物の心情にどっぷり浸かりたい!」という場合は、
1階最前列の「かぶりつき」を。演目によっては
キャストに劇中で「いじられる」可能性も高いエリアです。
ダンスの構図や装置の全体像を楽しみたい場合や、同じ演目を二度目に観るような時には2階席がオススメ。ダンスがいかに立体的に振り付けられていたかが分かり、新鮮な気持ちで舞台を見ることが出来ます。
観劇のときの服装、持ち物
ミュージカルに関しては、観客の服装は総じて
「意外にカジュアル」です。自身のファッションよりもチケット代に予算をまわしたい!というリピーターが多いのかもしれません。
ドレスコード的な制約はありませんので、華美な服をお持ちでなくとも、全く心配はありません。
ただ、
公演初日や千秋楽(最終日)は、出演者や劇場関係者にとっては特別な日となりますので、観る側も多少のお洒落を心がけると、劇場全体に一体感が生まれるかもしれませんね。
そして持ち物ですが、1階後方やサイド、あるいは2階席の場合は
オペラグラスがあると便利です。
遠くからでも好きなスターの表情を追いかけたり、気になった俳優の顔を覚えて、後ほどプログラムで名前を確認したりするのに役立ちます。貸出をしている劇場もありますから実際に席についてみて、遠いと感じたらレンタルすることをオススメします。
先ほど上演中の飲食はNGと書きましたが、予期せぬ「とまらない咳」に備えて
水やお茶入りのペットボトルも持っていると安心です。
少し喉を湿らせれば、たいていの咳はおさまります。ゴホゴホと咳き込むよりはサッと喉を潤わせて咳を止めてしまいましょう。
キャンディでもいいのですが、包み紙がひねってある形状のものは、開く音が意外に場内に響いてしまうので避けたいところ。
あと、多くの劇場空間は、どちらかというと
寒めに温度設定されています。
知らず知らず、終演までに腰や足首などが冷え切ってしまうこともしばしばありますから冷房の入る可能性のある春夏秋は、
カーディガン等の羽織を、また季節を問わず、腰に巻いたりできる薄手のひざ掛けなどを持参していると便利です。
いかがでしたか?ミュージカルの敷居は意外に低い、と感じていただけたのではないでしょうか。
何本か観ていくうちに、好みのジャンルもはっきりしてきますし、贔屓の俳優さんが出来たりもして、さらなる楽しみが生まれてきます。
準備やマナーを押さえたら、あとは
思いきり舞台を楽しみましょう。マナーを守って舞台を観に行くことは、自分自身の観る時の集中力も高めてくれます。
観劇はそうやって、
キャストも客も集中して楽しんでこそ完成する生の芸術です。目の前にその時間だけ現れる、素晴らしい夢の世界をぜひ体験してきてください。