第56回目となる今回は、「ライアーゲーム」などで知られる甲斐谷忍先生の代表作、「ONE OUTS」主人公、渡久地東亜から男前を学んでいきたいと思います。
【漫画のあらすじ】
プロ野球チーム・リカオンズの児島弘道は、怪我をしたピッチャーの代わりとなる人間を探してキャンプで訪れていた沖縄を歩き回る。
そこで彼らは賭野球「ワンナウト」で無敗を誇る男・渡久地東亜と出会う。
児島は、ワンナウトが野球を侮辱していると憤慨し、40万ドルを賭けて東亜と勝負し、一度は負けてしまうものの、捨て身のやり方で渡久地に勝利。
児島は東亜にリカオンズ優勝への光明を見出し、プロ野球の世界へ渡久地を引き入れ、リカオンズの立て直しを図っていきます。
しかしプロ野球入団後も渡久地はオーナーと内密に「一つアウトを取るごとに年俸500万プラス、しかし1失点すればマイナス5000万」という「ワンナウツ契約」を結び、他球団と心理のウラを突いた戦法でプロ野球界を蹂躙していきます。
野球漫画といえば、努力や青春というイメージがよく思い浮かぶかもしれませんが、この漫画はいかにお互いの意表をつけるかという心理戦がメインの漫画です。
野球のプロは野球をするのが仕事じゃない
勝つのがプロだ
○オトコマエポイント
渡久地東亜という人間をそのまま表したようなセリフ。
プロ野球はもちろん、ビジネスの世界でも「勝つのが仕事」です。
仕事をするのはあたりまえ、その上で勝つ事こそがプロに求められた仕事なのです。
そして渡久地はまさしくこの言葉を体現していきます。
時に反則を使ってでも勝利を掴みに行く渡久地の姿は、ダーティながらも正に「オトコマエ」の魅力が溢れたキャラクターといえるでしょう。
責任をとるってのはなぁ、痛い思いをするってことだ
○オトコマエポイント
「責任をとるってのはなぁ、痛い思いをするってことだ
迷惑をかけた人間が被った以上の痛みを、自分も負うってことだよ。
銀の食器を壊したヤツは金の食器を買って返すのさ
悪臭をまきちらす工場の社長は、その工場の煙突のすぐ横に屋敷を構えるのさ
それが責任をとるってことだ」
決して負けないであろう試合を、渡久地の見事な反則で落とす千葉マリナーズ・忌野監督。
それどころか、一部の選手に対して大量の自責点を残す結果となってしまった。
そんな選手に向かって、謝罪は「彼らには…悪い事をしたと思っている…」の一言のみ。そんな監督に対し、渡久地が放ったセリフです。
現場選手の仕事が「勝つこと」であれば、トップの仕事は「責任を取ること」。
部下が責任を怯えて行動出来ない、なんてことにはならないようにしなくてはいけません。
上に立つ人物であれば心に刻んでおきたい名言です!
このチームにチームワークの意味を知るものがいないのが問題だ
○オトコマエポイント
「チームワーク」とは何か?とリカオンズの選手に質問した時のセリフ。
リーグ最強のチームに立ち向かうとき、渡久地は「チームワークで勝つしかないが、このチームにチームワークの意味を知るものがいないのが問題だ」と吐き捨てます。
メンバーは「チームワークとは、メンバー一人一人の力をあわせてより強い力を出すってことだ」と答えますが渡久地は不正解と一刀両断。
その後、ある奇策でチームはグッと強くなり、渡久地は再度チームワークの意味をメンバーに問います。
その時のメンバーは「『みんなで』ではなく、『俺が』活躍し、チームを勝たせること、そういった事をメンバー全員が持てればチームは強くなれる。それがチームワークだ」と答えました。
渡久地はこの回答に満足し、その通りだとメンバーに説明します。
これは仕事のチームでも当てはまります。
なれなれべったりで仲良し仕事をするよりも、ライバル視するぐらい、競い合うくらいのほうが緊張感が生まれ、よりよい結果が出せることは少なくありません。
そして結果を出すことが、一番個人の成長にもつながります。
どんなに仲良しでも、結果を出せないチームは結局ダメになってしまいます。
それぞれの持ち場を全うすることが仕事で一番大事だという、まさにプロの格言ですね。
まとめ
渡久地は他の多くの野球漫画でピッチャーが持っているような武器を持ってはいません。
ストレートの球速は120〜130km/hと早いわけではなく、変化球は一切投げられません。
そんな渡久地がプロの世界でバッターをなぎ倒していきます。
渡久地の武器は「制球力」と「洞察力」、そして「心理操作術」です。
心理戦での騙し合いがこの漫画のメインであり、この部分こそ他の野球漫画とは一線を画した魅力と言えるでしょう。
面白いだけでは終わらない、仕事をするうえで必要なことを教えてくれる「ONE OUTS」を読んで気分を新たに仕事へ臨んでみてはいかがでしょうか?