コンビニエンスストア「サンクス」でアルバイトとして働く埼玉県の高校3年生の男子(18)が、労働組合「ブラックバイトユニオン」を通じて
『労働協約』を結びました。
今回のように高校生が労働協約を結ぶのは珍しく、非常に注目を浴びています。
twitter上でも
「高校生よくやった」「大人が黙認している中で、高校生が毅然と対応できるとは素晴らしい」などその行動に賞賛の声が多数寄せられていた。
サンクス側もこれにしっかりと対応し、労働協約は1分単位で賃金を支払うしくみに改め、アルバイトを含む従業員約70人に未払い賃金計約500万円を支払うという。
しかし、その一方で
「やりすぎ」「まじめに働いているのか」などの声も。
労働協約を結んだ高校3年生は
「きちんと働いて、きちんとお金をもらうという、ちゃんとしたものが成り立っていない社会に僕は出ないといけないのか」などと社会の現状に肩を落としている。
また相談を受けた労働組合「ブラックバイトユニオン」の方も
「彼のおかげで従業員70名に未払い賃金500万円が払われてる。500万円を盗んだ企業ではなく、取り返した学生を叩く大人が多いようじゃあ日本からブラック企業なんてなくならないはずだ」など日本の労働体制に懸念を抱いています。
「労働協約」とは
今回話題となったこの「労働協約」とは、『労働組合と使用者が団体交渉をした結果、合意に至った事項を紙に書いてまとめたもの』のことをいいます。
労働協約の効力が発生する条件を定めた文章を引用すると、
労働組合と使用者又はその団体との間の労働条件その他に関する労働協約は、書面に作成し、両当事者が署名し、又は記名押印することによつてその効力を生ずる。(労組法14条)
となっています。
つまり、「紙に書いてある」ということが重要になります。
その内容は一般的に
@賃金、労働時間、休日、休暇などの労働条件
A昇進、解雇などの人事の基準
B安全衛生、災害補償、福利厚生など
C組合活動、ショップ制、団体交渉
などがあり、これらの内容を労働関係法などの法令や公序良俗に反しない限り、両者が自由に取り決めることができるものです。
「労働協約」の効力
また「労働協約」には
平和義務・規範的効力・債務的効力が定められています。
「平和義務」では、労働協約の有効期間中に、その協約に定められた事項の変更を要求して、争議行為を行うことは許されないということ
「模範的効力」では、書面の内容を互いに内容を認めることで他の労働契約に定められた
労働条件の内容を無効にし、その内容を労働協約の内容に書き換えるという強い効力が発生するということ
「債務的効力」では、団体交渉のルールなど使用者と労働組合との関係を規律した債務的部分については、一般の契約と同様に当事者間に債権債務の関係が発生するということ
がそれぞれ記されています。
これらの条件のもと、最大で3年の期限内で契約を締結することができ、有効期間が定めにより更新された場合にはその都度締結する必要があります。
さいごに
勤務している会社がブラック企業だと、現状の労働条件に不満のある方は「この会社に自分は合っていない」「転職しようかな…」などと泣き寝入りするのではなく、一度相談するなどして「労働協約」を結ぶ動きをしてみるのもひとつの方法かもしれません。
また、今回の高校生のような「行動力」を自分も持つべきだなと改めて考えさせられました。