フレーフレーニッポン!
来る2016年5月26日に
第42回先進国首脳会議『伊勢志摩サミット』が三重県志摩市阿児町神明賢島で開催予定です。
テロ対策を含め警備面に関して、さまざまな不安や問題の声が挙がっていますが、議長国として、また経済大国日本として、この世界経済の牽引役としての役割も大きな課題です。一時は明るい兆しが見えていたアベノミクスも最近すっかり影を潜めているように感じます。
先日取り上げた
「マイナス金利」を採用した日銀は、先のGWの前半に当たる4月30日に、金融政策決定会合を開きました。その中で4月と10月に公表される『経済・物価情勢の展望』の中で消費者物価の予想が注目されました。
それは、日銀が進めてきた
『量的・質的金融緩和』政策が、「インフレターゲット」を導入し、達成するために行われてきたからです。今回はこの
「インフレターゲット」を取り上げます。
高くても低くてもダメ
インフレターゲットとは、英語で
インフレーションターゲティング(inflation targeting)。昔、社会でインフレ、デフレなど習いましたね。そのインフレです。
インフレーション(物価上昇)率に対し、政府、中央銀行あるいは合同して一定の目標を設け、それに収まるように金融政策を行うことだそうです。
もともとは、高いインフレ率に苦しむ国で行われ始めたようで、インフレ率が高くなりすぎることを防止し、目標値まで下げるよう誘導する目的でした。もちろん、日本以外でもさまざまな国が採用しています。
デフレスパイラルの明るい希望
それではなぜ不況である日本で「インフレターゲット」が導入されたのでしょうか。日本の不況の主因がデフレで、未だデフレスパイラルから脱却できていないのが、最大の問題であるということが前提となっています。
そのデフレスパイラルを断ち切るために、
一定のインフレ率を目標とし、その目標を達成するまで金融を緩和し、デフレ脱却を図ろうというものです。
日本で論議されてきた目標値は、0〜4%。
経済が健全性を取り戻し、持続的に成長するようになると『結果』として2〜3%の緩やかなインフレになると見られ、それを目標としています。
しかしながら結果としてではなく、意図的にインフレ方向へ政策を行い、インフレに火が付いた場合、歯止めがかけられるのかという問題も抱えています。また、物価のみが上昇し景気が回復しない
スタグフレーションの心配もあるなど、今まで採用されてこなかった理由もあります。
とはいえ2014年4月4日に、黒田日銀総裁は「インフレターゲット」を採用し、消費税率引き上げの影響を除いたインフレ率2%を、2年程度の早い時期に実現するという目標を掲げ、
『量的・質的金融緩和』政策を開始したのです。
マイナスがマイナス?
ところで肝心の、先の金融政策決定会合で公表された『経済・物価情勢の展望』ですが、日銀の掲げた「インフレターゲット」には達成できませんでした。
それどころか0%成長となり、早くも「マイナス金利」政策の失敗と結びつける声もあるようです。しかし、それは時期尚早ではないかと期待を込めて否定したいと思います。ただ、易々と先送りされる強気の目標設定がいいようには思えません。
デフレを脱却するという市場の明るいムードを作る政策でもあるので、実現できる目標設定をしていただきたいものです。
さいごに
政治だけで何事もいろいろな要因が絡み合うので、何をしたからこうと、簡単に結果が出るものではありません。
しかし、日々進化を求めるものです。短期的、中期的そして長期的なターゲットを設定し、トライ&エラーで歩んでいきたいと思う今日この頃です。