東京・門前仲町にある天ぷら屋「みかわ 是山居(ぜざんきょ)」。
芸能人や政界の有名人も通うこちらのお店に今回紹介する匠がいます。
天ぷらを揚げ続け50年以上、天ぷらの神様と呼ばれる職人
『早乙女 哲哉』さんから仕事術を学びます!
早乙女 哲哉
栃木県に生まれた早乙女さんは小さな頃からお寿司が好きで、将来は寿司職人になりたいと思っていたそうです。
15歳の時に寿司職人になりたいと、父親のつてで上京。
しかし、辿り着いたのはなぜか天ぷら屋、すでに話も通ってしまっていた為、気の小さい早乙女さんは何も言い出せずそのまま天ぷら屋で修業をする事になりました。
修業を重ね、揚場を任される事になりましたが、気の小ささからお客さんの前での失敗を恐れ体の震えが止まらないという状況に。なんとか人の目に慣れようと、休日は駅の改札前に立ち続けました。
それでも気持ちの弱さを克服できない日々が続き、お客さんの前で汗が噴き出し、トイレに駆け込んでも汗が止まらない現実に「開き直るしかない」と覚悟を決めました。
自分は気も弱く失敗を恐れるからこそ、細かな事にも気付けるし、繊細な仕事に集中できる。
自分のスタイルを決めたことで、自信を持って勝負することができるようになり、29歳で独立を果たしました。
人前に立つというのは、とても緊張する事。
心の落ち着け方や、克服の仕方は人それぞれですが「開き直る」というのも方法の一つです。
過程はどうあれ、自信を持って行動出来る事は周りから見ても説得力のある姿に見えることでしょう。
完成形を思い浮かべる
早乙女さんは天ぷらの完成系をはじめに思い浮かべてから作り始めます。
素材を選んでから他を決めていくのではなく、完成形に合わせて、素材・油・粉などを決めていく。
そうすることで、イメージ通りの天ぷらが作れるそうです。
これはどの仕事でも共通することで、自分が目指す場所を決めておかないと、そこまでの道程も定まらず、思わぬ障害に躓くことが多くなります。
また、早乙女さんは使う素材に対しての知識も豊富。
魚や野菜はもちろん、油や粉に至るまで徹底的に研究し積み重ねることで、美味しさを裏付けるデータが出来ていきます。
これにより、季節や場所ごとに素材を最大限に活かす事ができます。
ただルーチンワークのように慣れで作業するのではなく、これはどういう物なのかを考えることで日々の仕事の精度が上がり、自分を成長させることが出来るのではないでしょうか。
いかがでしたか?
早乙女さんは「一番好きな事は仕事、一番嫌いな事も仕事だね。天ぷらを揚げる事はとても難しく大変だから嫌いだけど、夢中になれるのも天ぷらを揚げる事なんだ。」と言います。
すごく素敵な言葉ですね。
こんな言葉が似合うぐらい夢中になれる仕事が出来たときは男として一歩成長できた証となる事でしょう!